「ありふれた職業で世界最強」は、突如異世界転生した最弱の主人公が、「地球に帰りたい」という想いを胸にどんどん強くなっていく、いわゆる異世界転生モノのライトノベルだ。
魅力的なヒロインと出会い、その世界でも規格外の能力を発揮していく様はまさしく「チーレム」なのだが、本作品の大きな特長は、その規格外の能力を得るまでの過程にある。
主人公のハジメは、オタクとして馬鹿にされ、スクールカーストでも底辺を生きていた。それが突如として異世界に召喚され、さぞかし高い能力を付与されるかと思えば、そんなことはなく。
ステータスは軒並み「10」と一般人並。しかし、他のクラスのメンバー達はみんな1000以上のチートスキルを持っている。そしてハジメは、とある事故がきっかけで、訓練場所だった迷宮から”奈落”へと落下してしまう。
クラスメイトの誰もが「ハジメは死んだ」と思っていたが、そうではない。実は彼は生きていた。しかも、”奈落”において生きるための超絶なスキルを身につけながら――。
超絶なスキルを身に着けたハジメはとにかく強い。そして何より信念がある。その信念は三つ。
「地球に帰ること」「愛する者を守ること」「その邪魔をする者は容赦なく殺すこと」
この信念は長い作品の中で終始一貫しており、揺らぐことがない。それ故か、この作品には全体を流れる安定感のようなものが確かに存在している。
第一巻では、ハジメが奈落に落ち、いかに絶望し、そして生きる術を身につけたかが描かれる。Amazonのレビューでも「気持ち悪い」と言われているだけあり、その内容は決して気持ちのよいものばかりではない。
だがそれでもあえて言いたいのは、この作品は「吸血鬼ヒロイン」に萌える作品だということだ。なぜ吸血鬼ヒロイン萌えなのか、それは一巻を読んで確かめてほしい。
ちなみにこの作品、Web版では完結しているので、放置の多いこのジャンルでは非常に珍しいともいえる。完結しているというだけでも読む気が起きる人は少なくないはずだ。
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