記憶屋 (角川ホラー文庫)

「記憶屋」という、誰かの記憶を消すことが出来る人間がいるという都市伝説を知った主人公の遼一は、自身の体験から、「都市伝説」が実は都市伝説ではないと感じ始め、「記憶屋」の正体を追い始める。その過程で起きる出来事を描いた話。

全体的に女子中高生向けといった印象かもしれないが、女子中高生が読んでも首をかしげるのではなかろうか。

キーパーソンを差し置いて別人物によるエピソードが途中で長々と入るため、ストーリーを追うのに手間がかかる。このエピソードが各キャラクターの理解を深めて感情移入する助けになれば良いのだが、出来事だけを消化しているために、結果的にキャラが薄っぺらい。また、1冊の中にテーマとなる話が複数乱立しているため、物語の構造を把握しづらい。

ただし「記憶屋」というテーマ自体は良かったのと、一応はキーパーソンの言っていることも理解できたのと、最後の1ページの説得力はあったので続刊も買う。

管理人の評価

総合評価
この本の総合評価。他の項目との平均点ではなく、それ以外の要素も加味して採点。
2.5点
キャラへの共感
登場人物にどのぐらい共感できるか、感情移入してストーリーを追えるか
3点
可愛い・かっこいい
女性キャラは可愛く、男性キャラはかっこいいなど、キャラが魅力的に描かれているか
2点
わかりやすい
わかりやすいストーリーをか、または複雑なストーリーでも理解しやすい書き方になっているか
3点
興味深い出来事
作中で起きる出来事・イベントが興味深く、ストーリーを引っ張っているか
2.5点
読みやすさ
漢字・ひらがな・句読点・会話文・地の文のバランスがとれた読みやすい文章になっているか
4点
文章表現・会話
比喩等のレトリックが適切に使われ、会話文にユーモアがあるか、情景描写などが丁寧か
1点
ここから先はネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

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